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とある土曜日、少し足を伸ばして富士五湖のひとつを祐二ママと訪れた時のこと。
街中より一足早い紅葉や、雪を頭に乗っけた富士山を愛でながら、二人でひたすら湖畔を歩き回った。
とにかく祐二ママは歩くのが好きで、歩きながらいろんな話をしてくれる。
自分の子ども時代のことや旦那さんとの馴れ初め、祐二が幼かった時のことなどなど。
僕も負けじとテニス部の過酷な夏合宿体験だの、流行りのゲームについて語ったのだが、祐二ママはどんな話題でも興味深そうにうなづきながら聞いてくれるので、張り合いがある。
なにやら自分が会話の達人になったような気分だけど、実は祐二ママが聞き上手だからに過ぎない。

晩秋とは言え穏やかな陽ざしの午後で、歩いているうちにすっかり汗ばんでしまった。
祐二ママが車をスタートさせ、しばらく走らせた頃、
「汗かいちゃったわね。お風呂に入って行こうか」
と言い出した。
お風呂と言うから、てっきり国道沿いに何軒か看板が出ていた日帰り温泉施設にでも寄るのかと思ったら、いきなりハンドルを切って雑木林の中の寂しい道路に車を入れたのでビックリ。
怪訝な僕の視線の前にやがて現われたのは、童話の絵本に出てくるようなメルヘンチックで、でもかなり安っぽい建物。僕は一瞬で悟ったね。
(ラブホだ!)
祐二ママは僕をラブホに連れ込もうとしている!
中1なのに、貞操の危機!母に知られたら叱られる…なんてことをいまさら僕が思うはずもなく、車がビニールシートの目隠しを潜って駐車場に入って行くのを、ワクワクドキドキしつつも興味深く眺めていた。

ラブホ…ラブホテルの略。
主にカップルの性行為に適した設備を持つ部屋を、短時間(休憩)もしくは宿泊で利用できる施設。
業界では露骨な表現を避けるため「ファッションホテル」や「ブティックホテル」とも呼ぶ。
一般には、略して「ラブホ」や「デートホテル」、また俗に「Hホテル」などとも。
近年若者の間では検索サイトの名称から「ハッピーホテル」や、略して「ハッピーにいこう」という言い方で使われることも多い。
日本や韓国特有のホテルで、法律上の立地規制などから同業のホテルが密集して営業している事が多い。
日本には現在約3万軒のラブホテルがあり、1軒あたりの平均客室は約20室。一部屋につき1日2、3組の客が利用するというデータを元に計算すると、1日の全国の利用者は約200万人に達する。(Wikipediaより)

もちろん当時の僕にそこまでの知識は無かったが、当然カップルがエッチのため(だけ?)に利用するという知識は持っていて、胸をときめかす存在であったことは事実だ。
ちなみに僕らが入ったホテルの名は『リゾートホテル・アルル』。なかなかハッピーな名前だ。
敷地内に入ると、まるで建て売り住宅のような二階建の建物が隙間無く並び、一階部分が駐車スペースで、そのまま二階の部屋に上がる構造になっている。
祐二ママは多少緊張していたのかもしれないが、表向きは平静で、車を停めるや慣れた手つきでナンバープレートを隠すスタンドを立て、スタスタと先に立って部屋に進んだ。
僕はと言えば、祐二ママを信頼し切っていたこともあって、意外にも落ち着いてラブホ内を観察していた。
リビングはベージュ系に統一され、意外にシックな印象。
寝室のベッドは、残念ながら伝説の回転式では無く、そのかわり今まで見たことも無いような大きなベッドが鎮座ましていた。
プールみたいに巨大なベッドでは、たぶん僕と祐二ママ、それに祐二と僕の母の4人が同時に眠ることが出来るだろう。
こんなのが祐二んちの別荘にもあればいいのにな。
(つづく)

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2010.08.31 Tue l 夏休み l コメント (2) トラックバック (0) l top