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元旦…祐実はエリナに朝から起こされて、砧公園周辺をランニングしていた。
遅くまで酒を飲んでいたので気持ちよく寝ていたのに、
「お正月も走り込めってみんなに言ったのは先輩ですよ。さあ、走り初めです」
と、無理やり付き合わされたのだ。
飲み過ぎでゲロ吐きそうで、スイスイ走るエリナには引き離される一方。這うようにしてマンションの近くまで戻ってきた。
「おまえ…そのスタミナを試合に生かせよ」
肩で息をする祐実に対してエリナは涼しい顔。
「先輩こそ、なんで試合ではバカみたいに元気なんですか?」
「…バカだけよけいだ!」

「あっ、小橋さんだ」
エリナの声に、ゼイゼイ肩で息をしながら目をやると、レッドエスパーダのキャプテンで祐実の友達でもある小橋カナが、マンションのエントランス脇に立って不思議そうにこちらを見ていた。
「なんだなんだ?…新年早々、仲がいいなあ」
おかしな組み合わせを見てカナは少し戸惑っているようだ。一方、祐実は変なところを見られたと酔いが醒める思い。
「小橋さん、あけましておめでとうございます」
エリナがペコリと頭を下げた。
「ああ、おめでとう…って、おまえら同棲してんの?」
妙に真面目なカナの表情に祐実が焦った。
「バ、バカ言ってんじゃないよ!」
「押し掛け女房みたいなものなんですよ」
エリナはニコニコしている。
「ほほ~、ユミ、可愛い彼女が出来てよかったじゃないか」
エリナに釣られるように、カナもニヤニヤ顔になった。
「だから違うって!」
「小橋さん、どうぞ上がってお茶でも飲んでってくださいよ」
「おお、上がる上がる」
楽しそうな小橋カナとエリナの後から青い顔の祐実が続いて、マンションへと入って行った。

「なんだ?おまえたち一緒に寝てるのか?」
カナがリビングから開け放たれたベッドルームを見て目を丸くし、祐実は『しまった!』とばかりに頭を抱えた。
祐実はエリナより先に寝て、後に起きたのでわからなかったのだが、前夜、酔っ払って眠ってしまった祐実のベッドに、エリナがちゃっかり忍び込んできたようなのだ。その痕跡として祐実のベッドには枕が二つ、可愛く並んでいた。
「エヘ…一人じゃ寂しいから」
エリナが照れもせず嬉しそうに答えている。
「そうかあ…なんかオジャマしちゃったかな?」
「いえいえ、大歓迎です。今、コーヒーでも入れますね」
そう言ってエリナがいそいそとキッチンに立った。
(つづく)

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2010.12.31 Fri l 泣き虫エリナ l コメント (2) トラックバック (0) l top