エッチなおはなし
エロは地球を救う!モーツァルトのような無垢なエロを書きたい・・・
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燃えろ一平!幻のデビュー編 11
翌日、撮影所に現れた一平は、スケジュール表を見つめている村田に元気いっぱいに挨拶した。
「おはようございます!」
「…一平か。お前、もうフォース助監督の仕事しなくていいから」
村田に素っ気なく言われて血の気が引いた。
それって助監督の仕事をクビってこと?やっぱり昨夜、監督に向かって生意気なことを言ってしまったからか?それとも、つまらないモノマネをプロデューサーの狛江さんに見られてしまったから?でも、いくら臨時雇いとは言え、いきなりクビはひどい!
「村田さん!なんとかお願いしますよ。自分、ずっと村田さんに付いて映画の仕事をやりたかったのに。助監督でなくてもいいですから、どんな仕事でもしますから、どうかクビだけは勘弁してください!」
「うるせえなあ!誰がクビって言った?お前は今日は役者をやるんだよ」
「や、や、や、役者!?」
村田がスケジュール表を置いて一平を見た。
「今日、飛鳥ひろみと絡むはずだった木下って大部屋俳優が、昨日の夜、酒飲んでバイク走らせてて事故ったんだ。足首骨折で全治3ヶ月。慌てて代わりの役者を探そうとしたら、狛江のジイサンが『一平にやらせろ』ってさ」
「狛江さんが?監督はOKなんですか?」
「プロデューサーに言われりゃ文句は言えないだろ。台本よく読んどけよ」
一平にも、ようやく事態が飲み込めてきた。
「で、でもやっぱり自分には無理ッス。役者なんて大学の自主制作映画ぐらいしか経験ないッス。絶対無理ッス」
「無理ッス無理ッスって、だったら断って来いよ!その代わりプロデューサーの意向に逆らうんだから、本気でクビを覚悟しろよ!」
「そ、そんなあ…」
そこで村田がニヤッと笑った。
「お前、飛鳥ひろみのファンなんだろ?いい記念になるじゃないか。たいした役じゃないし、楽しんでこいよ。ひろみのおっぱいに触れるぞ」
一平は、そこであらためて気付いた。木下が演じる予定だった二宮一等兵役には、短いながらひろみとの濡れ場があるのだ。台本を思い出しながら、一平のヒザが小刻みに震えた。
「…なに震えてんだよ。言っとくけど、お前、昨夜監督に向かって大風呂敷広げたんだからな。下手な演技したら、また殴られるぞ」
「そ、そんなあ…」
「ハハハ。今日はフォースの仕事はやらなくていいから、衣裳部に行って衣裳合わせしてこい」
「は、はい…でもオレ、カメラの前で裸になるなんて…やっぱ無理ッス!」
「うるせえ!早く行ってこい!」
思わぬ方向に話が進んで戸惑うばかりの一平だったが、衣裳部に向かう道すがら、(面白いかもしれない)と、思い始めていた。
考えたら、ほんの数日前までは映画の仕事が出来るなんて考えもしなかった。いきなり助監督の仕事をやらせてもらったら今度は俳優をやれという。
(人生はまさにメリーゴーランド)
中学時代は菅原文太や千葉真一やスティーブ・マックイーンの演技に憧れ、高校時代には『明日に向かって撃て』のポール・ニューマンとロバート・レッドフォード、そして『幸福の黄色いハンカチ』の、われらが高倉健さん。チャップリンにハマったのも高校時代で、渥美清の車寅次郎に男の美学を見た。そして松田優作の数々の怪演。
思い返せば一平にとって俳優は憧れの仕事だったのかもしれない。ただ、自分には荷が重いと決め付けて、いつしか脚本家などのスタッフに目標を変えていた。それが向こうからチャンスが転がり込んで来たるのだから人生は凄い。
(こうなったらやるしかない。自分には守らなくてはならないものなど、一つも無いのだ。裸を見られるくらい…なんだって言うんだ!)
根が単純と言うか、衣裳部で軍服のサイズを合わせてもらう頃には、すっかり二宮一等兵になりきっていた一平だった。
(つづく)
2011.10.03 Mon
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燃えろ一平!幻のデビュー編
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燃えろ一平!幻のデビュー編 12
一平が演じることになった二宮一等兵は25歳の設定。東北出身の純朴な農夫で、故郷には妻と子供がいる。
部隊が奉天駐留からソ満国境に移動することになり、奉天最後の夜、ユキのいる娼館を訪れ、故郷の妻を想いながらユキを抱く…という役柄だった。
兵隊の衣裳を着た一平は、スタジオの隅で一心に台本を読んでいた。セリフはすでに覚えた。あとは、いかに二宮一等兵になり切って演技するだけ。それに関しては監督に指導をお願いするしかない。
一平は、衣裳合わせの後、監督の大原を訪れて昨夜の不作法をあらためて謝罪したが、大原はむしろ役者としての一平を心配していた。
「大丈夫か?」
「あ、はい。厳しい演技指導をお願いします」
濡れ場はサード助監督の沢村に何度もリハーサルをお願いしていた。沢村の体臭を気にしている場合ではない。むしろ沢村の方が嫌がっていたが。
いよいよ主役の飛鳥ひろみもスタジオ入りし、リハと本番。
事前に控え室を訪れて、メイク中のひろみに挨拶をしたが、『あら、あんたに代わったの?』と鏡越しに言われただけだった。
そしてリハーサル。一平はガチガチに緊張していたものの、監督の指示通りに動いて、着衣のシーンでは3回ほどのリハで何も言われなくなった。
いよいよ本番、カメラが回るのだ。
設定は娼館の狭い和室、赤い煎餅布団を前に、正座したユキと二宮が対座している。
「自分は、おそらく生きて日本の土は踏めないと思います。ただ、国に残した女房と子供が不憫で…」
「いいよ。奥さんだと思って私を抱けばいいよ。でも絶対生きて帰るって気持ちは捨てちゃダメ。奥さんや子供のためにもね」
「…ユキさん!」
このカットを、なんと一平は一発で決めてしまった。
冷や汗いっぱいだったが、それでも夢中で二宮一等兵を演じたのだ。
周囲を取り巻くスタッフたちも、無言ながら、(一平やるなあ)と、意外な芸達者ぶりに内心感心している気配だ。
その他の何点かの着衣のカットも無事OKとなり、休憩に入る。
そして、いよいよ濡れ場のリハと本番だ。
リハでは、一平はブリーフ1枚の姿になったが、昨夜、村田に言われて新しい下着を付けてきたことを心から祝福した。
飛鳥ひろみは、衣裳の赤い長襦袢姿。手を伸ばせば届く位置に憧れの飛鳥ひろみがいることに一平は不思議な感慨を覚えたが、考えたら、これから手を伸ばしてひろみに触れることになるのだ。
演技そのものには複雑な絡みは無く、二宮がユキに覆い被さり、乳房を愛撫し、乳首を吸い、そして正常位で結ばれて果てるというシンプルなもの。
一平は極度に緊張したが、汗びっしょりになりながらも、なんとか無難にリハをこなして行った。
ひろみはというと、『汗臭いわねえ』とか、『暑苦しい』とか、いちいち一平に小さな声で文句を重ね、相変わらずやる気が無いようだったが、一平にはそんなことを気にしている余裕すら無かった。
「よし、時間も無いし本番行くぞ!」
一通り格好が付いた頃、監督がダミ声を上げた。
いよいよ濡れ場となり、カットが変わって、いきなり全裸での絡みのシーンの撮影。
一平は、ここまで来ればなりふり構ってられないと、ひろみと同じく前張りを付けることなく全裸になった。もはや恥ずかしさを感じる余裕すらなかった。
ひろみも長襦袢を肩から外し、一糸纏わぬ丸裸。憧れのひろみの裸が目の前に…なんて感動するには一平は緊張し過ぎていた。
ペニスは小さく縮こまっていて、昨日、撮影を見ながら、『男をその気にさする熱が欲しい』などと考えた自分が恥ずかしかった。
二宮がユキの上になって乳房を愛撫し、乳首を口にくわえて行くシーン。
一平とユキに照明が当てられ、斜め上からカメラが狙っている。
狭いセットに10人以上のスタッフが息を詰めて、一平とひろみの演技を凝視していた。
だが、ここでアクシデントが起こってしまった。
(つづく)
2011.10.04 Tue
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燃えろ一平!幻のデビュー編
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燃えろ一平!幻のデビュー編 13
「痛い!あんた力強すぎよ!アザになるじゃない!」
いきなり、ひろみが大声を上げた。
「カット!」
カメラが止まり、スタッフみんなの緊張が緩み、そして新たな緊張が生まれた。
「ひろみ、どうした?」
「監督!この人、おっぱいをギューギュー握って力強すぎ!童貞の役じゃないんだから不自然だわ!」
一平は目を白黒させる。たしかに二宮になりきろうと夢中になってしまい、乳房を愛撫する手に力が入り過ぎたかもしれない。
「すみません、ひろみさん…次は優しくやりますから」
「もう!ちゃんとやってよね!」
一平に毒づくひろみは、スタジオの前で初めて会った時とは別人のように蓮っぱな印象で、そしてこの最初のNGで一平はすっかりパニくってしまい、ミスの連鎖に陥ってしまう。
撮影が再開されたものの、段取りを間違え、短いセリフをトチリ、NGを繰り返し、その度にひろみのイライラは昂じ、スタジオ内が不穏な空気に包まれて行った。
「もう!ちゃんとやってって言ったじゃない!いい加減にしてよ!」
「す、すみません…」
「一平、落ち着け!」
村田が叱咤激励したが、すでに一平の表情は青ざめている。そして乳首を口に含む演技で、ひろみが悲鳴を上げた。
「痛い!監督、この人、乳首を噛んだよ!」
「カット!」
再びカメラが止まった。
「一平、なにやってんだよ」
村田も情けなさそうだ。
「そんなにガチガチにならずに、彼女とエッチしてるつもりでやれよ」
「ハア…でも自分、経験が無いもんで…」
一平の一言に、スタジオが妙な沈黙に包まれた。
「経験無いって…お前、童貞?」
訝しげに聞く村田に、一平は、
「はい、そうですけど…」
と答え、記録係の若い女性が失笑した。
「…お前、いくつだっけ?」
「はい、23です。もうすぐ24ですけど」
それを聞いて、飛鳥ひろみがけたたましく笑い始めた。
「童貞のポルノ男優なんて初めて聞いたわ。もいイヤ!私、今日は帰るから」
「ひろみ!わがまま言うな!」
今回の撮影で初めて監督の大原がひろみを怒鳴ったが、ひろみはひるまなかった。
「もう無理!撮影は明日にして。そして、狛江さんに言って、この人を他の人に変えてもらって!」
そう言い捨てると、長襦袢を羽織り、さっさとスタジオを出て行ってしまった。
スタジオ内が重い脱力感に覆われた。
「す、すいません、オレ…」
村田が深いため息をつき、監督の大原に、
「どうします?他の役者を手配しますか?」
と、お伺いを立てた。
「いや、一平で行く。明日の午前中にもう一度やる。それまでにお前が一平を指導しておけ」
「はあ…でも難しいかもしれません」
「一平がダメなら、お前にやらせるぞ!」
「そ、そんなあ…」
大原は言うだけ言うと、さっさとスタジオをあとにしてしまった。
(つづく)
2011.10.06 Thu
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燃えろ一平!幻のデビュー編
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燃えろ一平!幻のデビュー編 14
「村田さん…どうしましょう?!」
すでに一平は半泣き状態。
「まさかお前が未経験だとはな…これからトルコ(当時はソープランドのことをトルコ風呂と呼んだ)にでも行って、童貞捨てて来いよ」
「ト、トルコって…経費は出るんでしょうか?」
「はあ?大事な製作費をお前のトルコ代に使えるわけないだろ!」
「だって、オレ金無いッス」
「じゃあ、そこら辺でナンパでもしてやらせてもらえよ!」
「そんなあ…絶対無理ッス」
「だいたい、ここにも女がいるんだから、誰かが教えて…」
村田がスタジオ内を見回したが、3人ほどいた女性スタッフは全員が慌てて目を逸らし、自分の仕事に集中するフリを始めた。村田が、あらためて深いため息をついた。
「一平は今まで、かなりの本数のポルノを見てきたんだろ?それを思い出しながら落ち着いてやれば大丈夫だよ」
器材を片付けながら助け船を出してくれたのは、撮影助手の前原だった。
「今日だって一平は悪くなかったよ。肝心なところでひろみが嫌がらせみたいなことをするからパニックになったんだろ。そのあたりは明日、監督も気を付けるはずだから、なんとかなるよ」
「前原さん…」
思わぬ前原の言葉に思わず涙ぐむ一平だった。
「よし、一平!今日は早めに帰って、しっかり自分でリハーサルして来い。濡れ場をイメージしながらマスでもかけばリラックス出来るだろう。ただし、かきすぎるなよ」
村田の言葉に記録係の女の子がプッと吹き出した。
一平の緊張は解けていなかったものの、それでもいくぶんかは落ち着いてきたようだ。
その日は初めて、上司である村田より早く帰宅することが許された。
一平は衣裳を私服に着替えると、トボトボと撮影所の廊下を歩いていた。
みんなから激励され、少し元気になったのもつかの間。一人になると、また弱気の虫が顔を出す。
(やっぱり自分には役者なんて荷が重いんだ。明日も今日みたいに失敗したら、いよいよ予定日までのクランクアップが厳しくなる。今日のうちに狛江さんに話して代えてもらった方がいいのでは?)
助監督をやっているだけに押せ押せのスケジュールはよくわかっている。でも監督は、明日も『一平で行く』と言ってくれたのだ。それなのに役を降りたら、もうこの撮影所にいる資格すら無くなるのでは…
ため息を繰り返しながら、廊下を歩いていると、いつの間にか飛鳥ひろみの控え室の前にさしかかっていた。
ドアが少しだけ開いていて、中から会話が聞こえてきた。
「お前もたいしたタマだねえ。大原監督をあんまりコケにすると仕返しされるぞ」
男の声だ。
「ほっといてよ。あんたには関係無いでしょ!」
「ハハハ。まあ今の役を降ろされてもオレがなんとか次の仕事を手配してやるから。どうだ?今夜これから付き合わないか?」
「フンッ」
一平は気になって、そっと中を覗き込んだ。
鏡を前にイスに座ったひろみの後ろから、肩に手を掛けた男の横顔。ファースト助監督の亀山だった。
「つれないことを言うなよ。オレがいなけりゃ、お前なんてもう裸の仕事出来ないよ」
亀山は後方から手を回して、カーディガンの上から乳房をまさぐり始めた。
ファースト助監督の亀山は、映画進行の仕事がほとんどで、撮影現場にはほとんど顔を出しておらず、村田に言わせれば、『次回作で監督昇進が決まってるから、そっちの方が気になって今の現場は気もそぞろ』と言うことらしい。
「やめてよ!私はそれどころじゃないんだから!」
ひろみが亀山の手を振りほどいた。
「フンッ、また金か?狛江さんに借金頼んだらしいな。妙な男に引っ掛かってるんだろ。もう若くもないんだから、そろそろポルノも限界だな。どうやって金を稼ぐ?今、流行りの裏ビデオにでも出て、本番やってみせるか?」
ひろみがキッとなって立ち上がった。
(つづく)
2011.10.07 Fri
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燃えろ一平!幻のデビュー編
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燃えろ一平!幻のデビュー編 15
ひろみがいきなり亀山を平手で叩こうとしたが、簡単に手首をつかまれ、逆に体を化粧台に押しつけられてしまった。
「お前だって今までプロデューサーや監督に体を提供して役をつかんできたんだろ?今さらカッコ付けんなよ」
ニヤニヤしていた亀山が、その時初めてドアの前でたたずんでいる一平の存在に気付いた。
「なんだお前!なに見てんだ!」
一平は緊張しながら室内に足を踏み入れ、亀山に視線を据えた。
「やめてください亀山さん。ひろみさん、嫌がってるじゃないですか」
声は震えているが、ここは後には引けないと思った。
亀山は、ひろみの手を離すと、一平の顔を見回した。
「なんだ…お前、臨時雇いの助監じゃねえか。誰に口聞いてるんだ!」
「…ひろみさんは、飛鳥ひろみは素晴らしい女優です。まだまだ映画で頑張ってくれます」
亀山が素早く動いたと思うと、いきなりパンチを繰り出し、一平はしたたかに頬を殴られた。
(やれやれ、二日連続だ)
そんなことを思いながらゆっくりと尻もちをつく。
「おい!お前なんかクビにするのは訳ないんだぞ!」
長髪に黒縁メガネを掛けた亀山が凄んだが、一平もひるまなかった。
「役者の顔を殴ったりしていいんですか?これで明日の撮影が出来なくなったら亀山さんの責任ですからね」
「ハア?お前なに言ってんだ?誰が役者だ?」
「この子、狛江さんに言われて今日から役者やってんのよ。これ以上殴ったら、私が狛江さんに報告するわよ」
意外や、ひろみが援護射撃してくれた。プロデューサーの名前が出て、亀山のテンションは急激に下がったようだ。
「フンッ!言っとくけど、ひろみの映画出演は、これが最後だからな」
捨て台詞を残すと、足音を荒げてドアから出て行った。
「ちょっと、あんた大丈夫?」
腰が抜けたように座り込んだ一平に、ひろみが駆け寄った。
「ああ怖かった。自分、生まれてこの方、ケンカってしたことが無いんですよ」
亀山がいなくなって、急に声が震えた。
「唇が切れてるわ。大丈夫かしら?」
ひろみがハンカチで口元を拭ってくれた。
「兵隊なんて、しょっちゅう殴られてたでしょうから、これぐらい傷があった方がリアルですね」
ひろみが力なく笑った。
「私のために…悪かったわね」
「いえ、ファンですから。ひろみさんには、もっともっとポルノで頑張ってもらいたいですから」
今度はひろみが明るく笑った。
「いったい、いくつまで私に裸の仕事をさせる気?」
一平も笑い、ひろみに助けられながら立ち上がり、イスに腰掛けた。
「さっきは悪かったわね。ちょっと、むしゃくしゃすることがあったから、あんたに八つ当たりしちゃった。ホントはおっぱいが痛いなんてウソだったの…あんた、意外と上手だったわよ」
「本当ですか?」
「素人のクセに一発OKの演技なんかするから癪に触ったのね。ごめんなさい…」
「い、いえ…明日は…明日もまた僕が相手役でも、ひろみさん、やってくれますか?」
ひろみが優しい笑顔で頷いた。一平にとっては、まさに天使の微笑みだった。
「もちろんよ。明日は私も真面目にやるわ。だって、これが最後の撮影になるかもしれないから…」
「そ、そんなあ」
「さっき亀山も言ってたけど、みんなが私のことをどう見てるかぐらいわかってるわ。飛鳥ひろみに次は無いって…だからこそ、明日はしっかりと決めたいの」
「…」
「だから…これからリハーサルをしない?」
「リハーサル?大歓迎です!まだスタジオの電気も付いているはずですから」
「…バカねえ。スタジオじゃなくって二人っきりで演技指導をしてあげるって言ってんの」
(つづく)
2011.10.08 Sat
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燃えろ一平!幻のデビュー編
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