エッチなおはなし
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燃えろ一平!幻のデビュー編 6
「は、はい!今すぐ!」
一平は慌てて、『失礼します』と、うまく毛が隠れるよう注意深くルミの股間に前張りを貼ってやったのだが、ペタっと貼られた瞬間、ルミが『うっふ~ん』と、色っぽい声を上げたので、全裸の女の子たちが再び弾けたように笑い出した。
「一平!」
村田の怒鳴り声に、『「は、はい…すみません!』と、ただ小さくなるばかり。冷汗をかきながら、カメラの脇に退いたのだった。
これまでの人生、ほとんど女気の無かった一平だったのに、どうやらこの頃から女たちのおもちゃにされ始めたようだ。
一平が助監督の職について三日目、待ちに待った飛鳥ひろみの撮り日がやってきた。
その日、一平が制作部や小道具部を忙しく行き来して、両手にたくさんのファイルを抱えながらスタジオに戻ろうとした時、初老の男と小柄な女性が連れ立って歩いているのに遭遇した。
「あっ!」
一平は思わず声を漏らしてしまった。秋らしいベージュのブラウスに淡いグリーンのスカート。紛れもなくその女性は夢にまで見た飛鳥ひろみその人だった。
一平はためらうことなく二人に近付くと、
「おはようございます!」
と、荷物を抱えたまま、大きな声で挨拶した。
「あ、おはようございます」
ひろみが落ち着いた風情で挨拶を返してくれた。
「僕、大原組の新入りで川添一平と言います。フォースをやってます。ずっと飛鳥ひろみさんのファンでした!」
「あらまあ。お上手ねえ」
ひろみが、ちょっとはにかみながら笑った。
「ホントンなんです!5年前、新宿ロマン座での舞台挨拶の時には、友達と横断幕を持って駆けつけましたから。『僕らの心と体のアイドル飛鳥ひろみ』って書いたヤツ。ひろみさん、僕らの方に手を振ってくれました」
ちょっと考え込んだひろみだったが、やがて顔を輝かせ、
「あっ、覚えてる!ピンクの横断幕ね?」
と、嬉しそうに、隣に立った派手なジャケットを羽織ったハゲ頭の男に微笑みかけた。男は、『ハハハ』と愉快そうに笑ったが、小柄で痩せてはいるが目付きに凄みのある男だった。
「ひろみにまだファンがいたとはな」
ひろみは艶っぽい目で男を睨むと、
「ひどいですよ狛江さん」
と、甘い声で抗議した。
「狛江さんって…プロデューサーの狛江清豪(せいごう)さんですか?」
「おいおい。オレのファンとか言うんじゃないだろうな?」
「…ファンです。『陽はまた沈む』『戦争の条件』『栄光の5000海里』、みんな狛江さんプロデュースですよね?」
「こりゃまた懐かしい映画ばかりだな。オレは映画少年は苦手だよ」
狛江はそう言うと、まんざらでもなさそうに笑った。
狛江清豪は、かつては東活、いや日本映画界をリードした名物プロデューサーで、企業とのタイアップで金を出させる手法を日本映画界で始めて採用したと言われている。
集めた金で次々と大作をプロデュースしたが、大金を掛けた割には興行的には失敗作が多く、今ではポルノ専門のプロデューサーのようになっていた。それでも一平にとっては、日本映画史に名を残す、雲の上の人だ。
「じゃあ後でスタジオでね」
笑顔を残して飛鳥ひろみは狛江と並んでスタジオに向かい、一平は二人の後ろ姿に深々と礼をした。
思ったより小柄な体、厚い化粧、かつてのフレッシュな清純派時代とは違い、なにやら疲れた雰囲気を醸し出していたが、それもまた、ひろみの新たな魅力のように思われた。
やはり飛鳥ひろみは不思議なオーラを持っている。
一平は、ひろみの撮影に立ち会えると思うと胸が高鳴るのだった。
(つづく)
2011.09.27 Tue
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燃えろ一平!幻のデビュー編
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燃えろ一平!幻のデビュー編 7
(おことわり)
『燃えろ一平!幻のデビュー編 6』において、後半につながる伏線を書き忘れていたので、内容を少し書き直しました。
ご了承ください。
午後から、この映画の主役である飛鳥ひろみの撮影が始まった。
信州の山深い田舎から親を助けるために女郎に身を落とし、流れ流れて満州にたどり着いた娼婦ユキというのがひろみの役どころ。
一方、同じ信州の貧しい農家から刻苦勉学して陸軍士官学校に入り、今は関東軍の情報将校である杉山大尉。二人は運命の糸に手繰り寄せられるように奉天の街で出会い、宿命的な恋へと落ちる。
時は昭和20年8月。すでにソ連の参戦を察知していた杉山大尉は生きて祖国に帰ることをあきらめ、せめてユキだけは日本に帰そうと思っていたが、ユキは杉山とともに満州の土になることを望む…
とまあ、そう言った内容の映画だった。
この日の撮影はソ連軍の侵攻によりパニックに陥る奉天日本人街の旅館の一室で、ユキと杉山がひたすら愛欲に溺れるというシーンの収録。スタジオ内には旅館の一室を模したセットが組まれ、中央に置かれた木製ベッドの前に多くのスタッフが集まって異様な熱気だ。
主役のひろみの撮影だからか、プロデューサーの狛江清豪もカメラの後方に控えている。
カメラ位置や照明を確認するため、一平とサード助監督の沢村がベッドに上がらされた。沢村が杉山大尉、一平がユキの代役だが、汗っかきの沢村を抱き合うのは仕事とは言えつらいものがあった。
監督のOKが出ると一平は慌てて沢村から離れ、主役の二人を呼ぶべく控え室へと走った。
まずは杉山大尉役の宮下輝夫に声を掛ける。宮下はロマンポルノ界では一番のハンサム俳優で、年間20本以上の作品に出ている売れっ子だったが、満を持して進出した一般映画では端役扱いしかされないため、最近とみに機嫌が悪いとの噂だった。
「宮下さん、本番お願いします」
旧帝国陸軍の軍服を着た宮下は、一平が声を掛けても返事すらせず、タバコを揉み消すと黙って立ち上がった。
その足で飛鳥ひろみの控え室へ急ぎ、ノックをしようとした瞬間、中から『もう、いい加減にして!』との金切り声が聞こえた。
一平が凍り付いていると、続けて、
「あれっきりって約束じゃない。もうお金なんか無いわよ!」
と、切羽詰まった声。おそらく電話で誰かと話しているのだろう。かなり深刻な雰囲気だが撮影の時間が迫っているのだ。どうしようかと立ち尽くしていた一平の耳に、
「とにかく今はどうしようも無いわ。これから撮影だから後で電話する」
と告げ、チンと言う音とともに受話器が置かれた気配がした。
一平はホッとして一呼吸置いてからノックをし、廊下から、『飛鳥さん、本番お願いします』と、控えめに声を掛けた。
「あ、はい…すぐに行きます」
中からのひろみの戸惑った声を聞き、一平はそっとドアを離れた。
リハーサルが始まった。
着衣での演技の後、いよいよ濡れ場のリハだ。
宮下輝夫がTシャツにトランクス姿になった後、飛鳥ひろみが和服の衣装を脱いで、ブラジャーとショーツだけの姿になったのを見て、一平は密かに緊張した。
ひろみと宮下は、監督の指示のもと、いろんなポーズで抱き合って見せた。わずか5分ほどのシーンにフェラチオ、正常位、騎乗位、後背位と、内容はてんこ盛り。ポルノと言えども始めから最後までセックスシーンばかりだと観客も飽きてしまう。深刻なドラマの合間にスピーディーに濡れ場を挟むのが今回の大原監督の狙いのようだ。
だが、ベッドの脇で小さくなっている一平の目から見ても、演技する飛鳥ひろみからは、まったくやる気が感じられなかった。すべての動きがおざなりで、いい加減なのだ。
リハーサルとはこういうものかとも思ったが、監督の大原やセカンド助監督の村田も戸惑い気味なのがありありだったので思いは同じなのだろう。
「監督、大丈夫ですよ。私、本番に強いんですから。本番行きましょう」
スタジオの妙な空気を遮るようにひろみはそう言うと、その場でブラジャーを取り、スルスルとショーツも脱いで全裸になってしまったので、大原監督は仕方なさそうに、『よし、本番!』と、しゃがれ声を上げたのだった。
いよいよカメラが回るのだ。
(つづく)
2011.09.29 Thu
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燃えろ一平!幻のデビュー編
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燃えろ一平!幻のデビュー編 8
一平はカチンコを手に持ちカメラの方に向けると、
「シーン39、カット8、テイク1」
と、はっきりとした声で告げ、『カチン!』と、ハサミ状のカチンコを甲高く鳴らし、この瞬間から本番撮影が始まる。
一平は素早くベッドの前から離れると待機姿勢を取ったのだが、ベッドを見上げてギョッとなった。
ベッドに仰向けになった宮下の下半身に覆い被さるようにひろみがフェラチオをするシーンだったが、一平の側からは四つん這いになったひろみの股間がまともに見えるのだ。
ひろみも宮下も前張りを付けなかったので、ひろみの素の性器を後ろから覗き込むことになる。
さすがにキレイに陰毛は処理してあるから、少女のようでもあり、しかし黒ずんだ大陰唇は熟れ切っていてなんとも悩ましい。
一平は撮影に参加してから何度目かのめまいに襲われ、目を逸らしそうになったが、いつ上司の指示が出るかもしれないので、懸命にベッド上を見つめていた。一平には役者の汗を拭いたりシーツを直したりの雑用がいきなり飛んでくるのだ。
それからいろんな体位での性交シーンが撮られたが、さすがに本番に強いと豪語するだけあって、ひろみは無難に撮影を進めて行った。
この当時はビデオではなくフィルムでの撮影だから使い回しが効かず、NGを出すことはお金と時間を垂れ流すことになり、低予算の映画では命取りになりかねない。
その点では、ほとんどのシーンを一発でOKを決めて行ったひろみも宮下も、そして監督の大原もさすがだと思った。
でも一平は不満だった。基本的にひろみの演技はリハの時から変わってはいない。監督の指示通りに動いてはいるが、明らかに熱意が欠けているのだ。
それが証拠に全裸の宮下のペニスは縮こまったままだし、チラチラ覗くひろみの性器は渇いていた。
もちろん演技なのだから一々本気に発情することなどあり得ないのは知っている。でも、演じる人たちが醒めていて観客を欲情させられるものなのだろうか?
飛鳥ひろみほどのポルノ女優ならば、演技でも本気に欲情して欲しい。無理を承知で一平はそう思った。
菅原文太は池玲子とのラブシーンで本気で挿入したというエピソードを残しているが、男優をその気にさせるぐらいの『熱』をひろみには望みたかった。
当然そんなものは無い物ねだりだ。一平の気持ちとは裏腹に撮影は淡々と進み、無事、本日の撮影予定を消化した。
一平は本番の前に盗み聞きしてしまったひろみの電話が、微妙に演技に影響しているのだろうかと思ったりした。
ひろみは、さっさと下着を付け和服を羽織るとスタジオを後にし、一平はその後ろ姿に『お疲れさまでした』と声を掛けたあと、撮影の片付けを始めた。
撮影は連日深夜にまで及び、一平のような下っ端は体力仕事が多くてヘトヘトになるが、そのあとはセカンド助監督の村田の仕切りで毎夜の宴会が繰り広げられた。
場所は撮影所の食堂で、ビールや安い焼酎や日本酒で乾杯を交わし、一平たち若手が買い出しして来た惣菜や弁当を食い散らかした。
一平は、もちろん初日から強制参加させられたが、サラリーマン時代の苦痛でしかなかった飲み会と違い、好きな映画に携わる者同士、楽しい酒を飲むことが出来て一平はまるで学生時代に戻ったような気分になれるのだ。映画作りに携わるのは毎日が学園祭準備のようなものだと思った。
宴会に出席した初日、村田に、『一平、なんか芸をやれ!』と命令され、売れっ子テレビ芸人のモノマネを見せたら絶賛され、調子に乗って今回の映画のスタッフや俳優のマネも開陳して爆笑を得た。
一平は小学生の頃から人や動物の真似が得意で、妙に人気があったのだ。
怒られるのを覚悟で大学の先輩でもある村田のモノマネを演じて皆が笑い転げ、案の定、村田に小突かれたけど当の村田も楽しそうだった。
夜の宴会には、たまにプロデューサーの狛江清豪もやってきたが、高そうなワインやローストビーフ、チーズなどを差し入れてくれたので、若いスタッフたちの楽しみになっていた。医者に止められているとかで自分は酒を飲まなかったが、若い者と楽しそうにしゃべっていた。
(つづく)
2011.09.30 Fri
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燃えろ一平!幻のデビュー編
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燃えろ一平!幻のデビュー編 9
給料の安い一平としては、この時とばかりに食いだめをし、酒を飲んでは適度に酔っ払ってモノマネでみんなを笑わせた。
ある日、プロデューサーの狛江のモノマネを初公開してみた。
「いいか、オレが一声掛けたら裕次郎でも小林旭でも飛んで駆け付けて来るんだからな。ジジイだと思って見くびるなよ!」
「オレもいろんな女優と浮き名を流したが、さすがに吉永小百合には手が出せなかったな。おでこにキスするだけにしておいたよ」
いつもの若いスタッフを相手の狛江の大ボラ(?)をデフォルメして演じる一平の芸にヤンヤの喝采だったが、そのうちみんなうつむいての含み笑いに変わった。慌てて振り向くと当の狛江清豪が目を怒らせて立っていた。今日は来ないものだと思っていたのに…
「あっ、狛江さん…」
「おめえ、ふざけた真似してくれるじゃねえか!」
小柄な狛江にベッドロックを掛けられたが、もちろん狛江が本気じゃないことはみんなわかっていたから爆笑の渦になった。
その後、狛江に命じられて、一平はすべての持ちネタをやらされるハメになり、その頃には狛江は腹を抱えて笑っていた。
早朝から深夜までの撮影で、一平は自分のアパートに帰るのが面倒になり、スタジオに寝泊まりするようになった。
なにせ撮影所にはシャワーもあればベッドもあり、さらに食事にありつくことも出来た。まさに一平に取っては夢の空間だったのだ。
ひろみの撮影があった夜も、例の如く若手スタッフで食堂で飲み会に興じていたのだが、そこに珍しく監督の大原銀次郎が通り掛かった。
「監督!一杯どうですか?」
セカンド助監督の村田が声を掛けると、『そうだなあ』と言いながら、イスに腰掛けた。
60歳に近い年齢ながら長身で姿勢がよく、白髪混じりの髪を長く伸ばしていて、夜でもサングラスを外さないダンディーぶり。
監督が加わったことで、いつになくおとなしい飲み会になってしまったが、それでも若いスタッフが順に大原にお酌したりしながら和やかに座は進んだ。
一平が、『監督、お疲れさまです!』と、ビールを注ぐと、
「おお一平!仕事はどうだ?」
と、特徴のあるダミ声で聞いてくれた。
「あ、はい。毎日楽しいです!」
「楽しいか…いいねえ、若いのは」
昔を懐かしむような暖かい目になった大原に、一平が気になっていたことを思い切って聞いてみたのは酔いの勢いもあったのだろう。
「監督、今日の飛鳥ひろみさん、なんだか熱意が無かったですね」
座が凍り付き、村田が目で制しようとしたが、気持ちよく酔っ払っていた一平には届かなかった。
「ひろみさんも若い頃はもっと一生懸命って言うか健気さがあったと思うんですけど、どうしちゃったんでしょう?なんか、やっつけ仕事で…」
その瞬間、ガキッと音がして、一平はアゴに衝撃を感じ、気付かないうちにイスから転げ落ちていた。
「ふざけるな!若造が聞いたような口きくんじゃねえ!」
大原の剣幕に、一平はただあたふたするだけ。尻もちをつきながら、やっとのことで、『す、すみません…』と謝るのが精一杯だった。
村田が慌てて中に入ってくれた。
「すいません監督!このバカ、いまだに映画少年のつもりなんです。自分がよく言い聞かせますから、今日のところは勘弁してやってください!」
やや落ち着きを取り戻した大原は、一平を殴ったことを恥じるようにサングラスを掛けなおすと、『帰る』と一言告げて出口へと向かった。
「お疲れさまです」
スタッフのさざ波のような挨拶が大原を送った。
(つづく)
2011.10.01 Sat
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燃えろ一平!幻のデビュー編
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燃えろ一平!幻のデビュー編 10
みんなに助け起こされ、イスに座ったところで、あらためて村田に平手で頭を叩かれた。
「お前、ホントにバカだなあ!監督に意見するなんて100年早いんだよ!」
「す、すみません…そんなつもりじゃ…」
一平としては、監督に意見するなんて気持ちは微塵も無かった。ただ、ひろみのことが気になる一心だったのだ。
村田がタオルを手渡してくれたので、それを唇に当てると血が滲んだ。
「飛鳥ひろみにやる気が無いことは、監督が一番わかってるんだよ。だからってスケジュールはギリギリ。納期に間に合わすのが監督の最大の使命なんだ。ひろみは最近ずっと気の抜けたビールみたいなもんだ。怒鳴ってよくなりゃいいが、ヘソを曲げられて役を降りられたりしたら、それこそアウトだ」
一平は黙って聞くしかなかった。
「黒澤明みたいに自分の気が済むまで撮り直せる監督なんて、ほんの一握りなんだぜ」
「はい…すみませんでした。オレ…生意気なこと言っちゃって…」
「もういいよ…明日、監督にもう一回謝っとけ」
「ハイ…」
「それにしても今日の飛鳥ひろみは、ひどかったな」
口を挟んだのは照明助手の前原だった。40歳を過ぎても助手に甘んじているが、気のいい男なので若手に慕われている中年男だ。
「ひろみのやつ、また妙な男に引っ掛かってるらしい。同じような男に何回も騙されて、結局金を引き出すだけ引き出されて捨てられるんだよな」
前原の話に村田が、
「それで演技に身が入らないって言うのか?金が必要なら仕事だけは一生懸命やればいいのに…」
と、こぼした。
「どうやら、ひろみにとっては今回の写真が最後の映画になりそうだな」
前原の言葉に、妙に座がしんみりとなった。
一世を風靡した人気ポルノ女優も、いよいよ潮時ということなのだろうか。たしかに今日のような仕事ぶりでは一般映画やテレビから声が掛かることもないだろう。
でも、映画の仕事が出来なくなれば、どうやって金を稼ぐのだろう…
一平は、控え室の前で聞いた『もう、お金なんか無いわよ!』という、ひろみの悲痛な叫びを思い出した。
「なんか暗くなっちゃったな。今夜はお開きにするか」
村田が座を締めたので若いスタッフが片付けを始めた。
「それから一平!お前、今夜は家に帰って着替えを持ってこい!臭くてかなわん!」
村田の声に周りから乾いた笑いが起こった。
一平は終電を降り、トボトボとアパートに向かって歩いていた。
大原に殴られたことがいまだに心を重くしている。自分にそんな気は無かったにしろ、監督のプライドを傷つけ怒らせてしまったのは確かだ。
村田が言うように、監督を始めスタッフ全員がギリギリのところで働いている。特に監督ともなれば、そのプレッシャーたるや想像を絶するものがあるのだろう。
燕雀(えんじゃく)いずくんぞ 鴻鵠(こうこく)の志を知らんや
(小さな人間に、大きな人間の志がわかるはずがない)
一番の新入りの自分だけが浮かれていたのかもしれない。
だが!
と、一平は思った。
(反省はする。でも役者にベストを尽くして欲しいオレの考えは間違ってはいない!)
一平は、そう考えて胸を張った。
毎日が勉強。まだ、この世界に入って1週間なのだ。
出来れば、映画の仕事をずっとやりたいと思い初めていた。村田の下でいい。ずっと映画の匂いをかぎながら生きていきたい。そう思うことで、新たな元気と勇気が湧いてきた。
(ヨシッ!明日も頑張るぞ!)
気持ちのいい秋の夜、一平は気合いを入れたが、その翌日、まさかあんな事態が起ころうとは…
(つづく)
2011.10.02 Sun
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