2ntブログ
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- -- l スポンサー広告 l top
「ふ~、とりあえずあのバカがあれ以上暴走しないでよかったよ」
試合後、控室に戻りながら胸を撫で下ろした祐実に、岩村が不満そうに聞いた。
「ユミさん、なんであんなヤツに謝らせたんですか?」
「バカ。乱闘騒ぎになったら、連盟からペナルティー食らっちまうだろうが。それに、あいつに本気でへそを曲げられたら、全日本に合流した時に面倒臭い。カナの立場だってあるしな。潮時なんだよ」
「…なるほど」
そう、このあたりはさすがに全日本キャプテンは経験も考えも深いのだ。
「あいつ、柄にも無くエリナに手を握られて顔を赤らめてたぞ」
「ええ!あんなのタイプじゃありませんよ。ゴジラに比べたら岩村さんの方がよっぽど可愛いです」
「…それ、褒めてるつもりか?」
エリナと岩村は、この騒動をきっかけに、すっかり仲良しになってしまったようだ。

この試合での『エリナ、オチンチン発言』の模様は翌日のスポーツ新聞でも大きく取り上げられ、アイドルらしからぬ言動に幻滅されるかと思いきや、むしろ新たな面を発見したファンたちは、以前に増して『泣き虫エリナ』に親近感を覚え、マスコミ関係者が動画サイトにアップした『オチンチン』発言の場面をダウンロードし、iPodで繰り返し聞いては随喜の涙を流したりしたという。
ちなみに前田には『オスゴジラ』なる有り難くないニックネームが進呈されることになったのだが。
それはともかく、この試合の不始末に連盟が動き出し、両チームにイエローカードが出された。
特に、先に挑発行為を働いたとしてアルタイル側には厳重注意。
「仕方ない。今日は前田を挑発するな。ペナルティー食らう訳にはいかないから。もっとも前田を怒らせても1セットしか取れなかったけど」
第2戦の試合前、ミーティングで祐実の言葉をキャプテンの荻原が引き取った。
「そうね。今日は今までの練習の総決算ということで、正攻法で挑みましょう」
「オオーッ!」

キャプテンの言葉通り、この日の試合は正々堂々と戦われることになった。
試合開始前、エリナと前田が対面の位置についたが、前田はツンとそっぽを向いている。
エリナは前田が視線を合わせてくるのをじっと待ち、目が合った瞬間、口の動きだけで『オチンチン』と言ってみたが、前田は一瞬怒りの表情を見せたものの、すぐにまたそっぽを向いてしまった。
(つまんないヤツ)
エリナはガッカリしたものの、前田の顔は試合前だと言うのに妙に赤くなっていた。

試合は前日の試合の後半と同じパターンで進んだ。
総合力で勝るレッドエスパーダは、決して無理な攻撃は仕掛けてはこないものの、余裕でアルタイルの攻撃をしのぐ。
ユミアタックも、エリナのクイックも、岩村のバックアタックも、単発では決まるものの後が続かず、ジリジリと離されてしまうのだ。
この日の小橋はエースの前田に攻撃が偏らないよう、バランスのよいトス回しで着実にポイントを加算し、アルタイルも必死の反撃を試みるも力及ばず、結局0-3のストレートで敗れたのであった。
これでアルタイルのセミファイナル出場はほぼ消滅し、レッドエスパーダは優勝へのマジックを1とした。
だが、不思議とアルタイルのメンバーに悲壮感は無かった。むしろやるだけやったという満足感の方が強かったのかもしれない。
(これじゃいけない)
祐実はそう思うものの、それでもここまで頑張って来たメンバーを褒めてやりたい気持ちでいっぱいだ。
ただし、ミーティングでは『少しでも可能性があるうちは全力で行くぞ!』と、手綱を締めるのも忘れなかったが。
(つづく)

にほんブログ村 にほんブログ村へ
2011.02.01 Tue l 泣き虫エリナ l コメント (2) トラックバック (0) l top

コメント

なかなか
強敵相手に苦戦してまんなぁ、前田も挑発に乗らないし。さてはて祐美やエリナはどうする?。
2011.02.03 Thu l 私の碇で沈みなさいっ!. URL l 編集
私の碇でさんへ^^
残念ながら、アルタイルの今季の4強入りは絶望的に。
来季には期待できるかな?
2011.02.04 Fri l スマイルジャック. URL l 編集

コメントの投稿












トラックバック

トラックバック URL
http://smilejack13.blog.2nt.com/tb.php/402-2be404f5
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)