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「あ、ケンちゃん!今夜は奈緒ちゃん一人でお留守番なんだって。だから私、お泊りで一緒にお勉強することにしたの」
僕を見つけたゆきえが、ちょっと興奮気味に言いました。
「ふーん、そうなんだ」
「久しぶりに奈緒ちゃんに数学教えてもらわなくっちゃ」
その時、奈緒が僕に向かって信じられないことを言い放ったのです。
「ケンちゃんも一緒に泊まりに来れば?」
僕とゆきえは驚いて思わず顔を見合わせてしまいました。
「…いくらなんでも、女子の家に泊まりに行けるわけないじゃん」
「なによ、アリバイに協力してくれる友達もいないの?」
「い、いるよ、それくらい…水谷とかさあ」
「じゃあ水谷んちに泊まることにして、うちに来ればいいじゃない」
相変わらず奈緒の口調は挑発的です。
「奈緒ちゃん、無理やり誘っちゃ悪いよ」
「いや、別にいいよ。水谷んちに泊まることにして今夜行くよ」
「…ケンちゃん」
僕は(大丈夫)って風に、ゆきえにうなずいて見せました。
「じゃあ夜にね。ちゃんと教科書持って来るのよ」
「わ、わかってるよ!」
奈緒はにやりと笑うと、そのまま席を立ち、図書館を出て行きました。
まんまと奈緒の挑発に乗ってしまったわけですが、僕は奈緒の真意を測りかねていました。単に幼なじみが久しぶりに集って、勉強したり思い出話をすることになるのでしょうか?何やら胸騒ぎを感じる僕でした。

結局、水谷にアリバイ工作は依頼しませんでした。なぜって、アリバイ作りを頼めばどこに泊まりに行くかを話さねばならず、本当のことを知ったら水谷はパニックに陥ったことでしょう。なにせ奈緒は学校一の美人と評判の生徒会長であり、ゆきえだって、その楚々としたたたずまいから、けっこう萌えキャラとして一部男子に人気なのを僕は知ってました。
母親には、『今夜、水谷の家に泊りこんで勉強する』とだけ伝えました。母は、
「晩ご飯はうちで食べて、お風呂にも入ってから行くのよ。飲み物や朝食べるパンなんかはコンビニで買っていきなさい」
と、1,000円くれました。
今までにも友達の家に泊まりに行ったことはありましたが、母から確認の電話などが入ったことは無かったし、意外と僕は親の信用が厚いのです。それに、もしばれてしまったら、それはその時のこと。まあ、男の甲斐性ってもんですよ…と、うそぶいて親を騙す胸の痛みをごまかしてみる…

出発前の夕方、ゆきえから電話が入りました。
『ホントに一緒に泊まるの?』
「ああいう状況だったからね。まあ、僕たちが付き合ってることは奈緒も知ってることだし、昔話でもして楽しく過ごそうよ」
『なんか緊張するなあ』
やがて僕は出発することになるのですが、なにやら胸騒ぎが止まりません。
夕暮れ時の街の中、奈緒んちに向かって自転車を走らせていると、いきなり1匹の大きな黒猫が自転車の前を横切り、僕の方を振り返ると、不気味な声で『ニャ~』と鳴いたのです。
ふ、不吉な!
(つづく)

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2011.03.04 Fri l 想い出エッチ中学生編・ゆきえ l コメント (2) トラックバック (0) l top

コメント

さすが奈緒は
中学生の頃から
「アリバイ工作してくれる友人はいないの?」って台詞は末恐ろしいですね(笑)。

それはそうと主人公の家もかなり放任な様な……f^_^;。

ついに主人公とゆきえに「衝撃的」なイベントが起こる……。

次回 想い出エッチ中学生編・ゆきえ 第15話 さぁ、祭はもう少しだ! 主人公!
2011.03.06 Sun l 私の碇で沈みなさいっ!. URL l 編集
私の碇でさんへ^^
放任と言うより信頼されているということで^^;
いよいよ3人で過ごす一夜が…
2011.03.07 Mon l スマイルジャック. URL l 編集

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