2ntブログ
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- -- l スポンサー広告 l top
「!」
僕は驚いて心臓が止まりそうになったけれど、男に引っ張られておとなしく離れの外に出ました。
「シーッ!」
僕のシャツから手を離した男が、唇の上に人差し指を立てて声を出さないよう僕に指示を出す。母屋からの光が男の顔を照らし出しました。亮一叔父さんでした。

僕と亮一叔父さんは黙って肩を並べて母屋へと向かいました。
僕は母のセックスを覗いていた興奮と、叔父さんにその現場を見られてしまった気まずさで、頭が混乱していましたが、やがて母屋の前にしつらえてあった手作りのベンチに叔父さんに促されて二人で腰掛けました。
亮一叔父は、タバコに火を付けて、ゆっくりと煙りを吐き出すと、穏やかな声で話し始めました。
「ダイスケももう六年生やし、セックスについては知っとるな?」
叔父さんが怒っている様子ではなかったので、僕は少し安心して変な質問に黙って首をタテに振りました。
「うん…わかっとると思うけど、夫婦がセックスせんと子どもは生まれん。ダイスケも父ちゃんと母ちゃんがエッチしたから出来たんやな。夫婦にとってはセックスはお仕事みたいなもんじゃ。『夫婦の営み』って言うぐらいやし」
そこで叔父さんが一人で『ふふふ…』と笑ったが、僕は亮一叔父さんが何を言おうとしているのか、よくわかりませんでした。
「うちも一生懸命子作りには励んどるんじゃが、どうも子どもが出来ん。セックスが激しすぎるんじゃろか?」
再び亮一叔父さんが渇いた笑い声を上げましたが、そこで僕はようやく気付きました。叔父さんはたぶん照れているのです。大人だって面と向かってセックスの話をするのは恥ずかしいことみたいです。
「でな…セックスは子どもを作るだけが目的と違う。そのうちダイスケにもわかる時が来ると思うけど、セックスは気持ちいい。ワクワクする。だから人はセックスする。人の嫁はんが旦那以外の男とおめこしたら『浮気』になるけど、お祭りの間は大目に見られるんじゃ。ダイスケの母ちゃん、美和さんはボランティアのつもりで慎二と寝てやっとるだけじゃ。そやからダイスケも、このことはあまり気にせん方がええ。母ちゃんに見たことは黙っとけ。東京に戻っても父ちゃんにも言うたらいかんぞ」
叔父さんは一息にそう言いました。
叔父さんが言いたいことは、母が慎二とセックスしたことを誰にもしゃべるなと言うことなのでしょう。
でも、それぐらいのことは僕だって心得ている。そんなこと恥ずかしくて母には言えないし、言ったら言ったで覗いたことを叱られるに決まってますから。ましてや父になど言うはずがない。父とはそんな会話を交わす関係では無かったし、家庭内でいざこざが起こるのはゴメンですからね。
「うん…」
僕が小さな声で返事をしたことで、亮一叔父さんはホッとしたように頷いたのでした。
「ヨシッ!ほな、母屋に戻ろう。ダイスケも近いうちにお祭りでいいことがあるかもしれんぞ!」
弾んだ声で叔父さんがそう言いましたが、僕がその言葉の意味を理解するのは1年後のことになります。

母が母屋に戻ってきたのは、それから小一時間も経っていたでしょうか。
まず慎二が座敷に戻り、オヤジ連中に冷やかされて照れていましたが、盗み見するその表情は、ちょっと癪に触るぐらいのドヤ顔でした。
一方、少し遅れて戻った母は、オバサン連中から微笑みで迎えら、そしてやはり照れている様子。
しばらくして、僕が座った少し後方で、雅子叔母さんが母に小さな声で話し掛けたのが聞こえてきました。
(つづく)


にほんブログ村 にほんブログ村へ
2012.04.03 Tue l はだか祭り l コメント (2) l top

コメント

こういう
亮一おじさんのような人は必要ですよね。
変にクソ真面目なタイプはセック○の話なんかようしませんもんねぇ(^-^)。
2012.04.04 Wed l 私の碇で沈みなさいっ!. URL l 編集
私の碇でさんへ^^
僕はその、『クソ真面目なタイプ』だったりしますが^^;
かくのは平気なんですけどねえ…
2012.04.05 Thu l スマイルジャック. URL l 編集

コメントの投稿