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「もちろん、日本に併合された歴史は韓国人にとって屈辱だよ。でも昔、パク・チョンヒ大統領が、『日本に併合されたことはファーストベストではないが、セカンドベストではあった』って言ってるんだ。僕もその意見にはある程度賛成。白人国家に支配されていたら、韓国人は人間扱いされなかっただろうし、現在の韓国の発展は無かったでしょうね」
訥々とした語り口で、言葉を選んだドンの英語に、外国人たちは耳を疑ったようだが、やがて例のアメリカ人が、
「ほほう。君は韓国人には珍しく、植民地根性に浸ってるみたいだな」
と、挑発した。でもドンは、軽く肩をすくめるだけ。
「なに?ここはコロニーなの?あんたたちをホワイトマスターって呼ばなきゃいけないの?」
私の声に、ドンに集まっていた視線が再び私に戻ってきたけど、その時、ヨン・ドンギュンがぽつんと、
「ホワイトマスター、ブラックハート」
と、つぶやいたものだから、白人たちの目つきがさらに鋭くなった。
(マジでケンカになったらシャレにならない!)
私は席を蹴って立ち上がると、
「ドン、行きましょ!こんなヤツらと一緒にいたって、ロクなことないわ!」
と、日本語で叫び、ドンの手を取って、足音を怒らせながらVIPルームを出たのだった。外国人たちの嘲笑に送られながら。

そのまま、ドンと手をつないだままお店を出たのだけど、クラブの料金はどうなるのかしら?まっ、いいか。
「まったく頭に来るわねえ。ホント、カッコだけのノータリンどもだわ」
「…外国人すべてがそうじゃないけど、欧米人に、ああいうタイプがいるのもたしかですね。でも、あなたはすごいです」
「そう?あんたこそ、日本人の味方とかしたら、国で公開処刑されるんじゃない?」
「おいおい…僕は韓国人であって北朝鮮じゃない。っていうか、あなたこそひどい差別発言です」
私たちは歩みを止め、路上で顔を見合わせ、そして笑い合った。
「あれ?あなたのお友達ですよ」
ドンが指差す方を見ると、里美ちゃんと彼氏のカナダ人マークが、私たちに向かって小走りに駈けてきていた。
「奈緒ちゃ~ん」
「里美ちゃん…ゴメンね。せっかく誘ってもらったのに、パーティーをメチャクチャにしちゃった」
息を切らせて近づいて来た里美ちゃんにとりあえず謝ったけど、里美ちゃんは意外にも、
「ううん、それはいいの。で、マークがあなたたちに一言謝りたいって」
と、後についてきたマークを促した。
ちょっと気弱なハンサムボーイって感じのマークが、
「僕の友達が失礼なことを言ってゴメンナサイ。あんなこと言うなんてシンジラレナイ」
と、私とドンに向かって言った。
ふむふむ、なかなかイイヤツじゃないか。里美ちゃんの彼氏として合格点をあげよう。
「ううん、私こそゴメン。それより里美ちゃん、これからやりにくくなるんじゃない?」
「もういいの。そろそろ六本木も卒業と思ってたから。それより、これからマークの部屋に行って飲み直さない?」
「僕の家、ここからすぐだから、タクシーで行きましょう」
マークと里美ちゃんの提案に私とドンは顔を見合わせた。
「どうする?ドン」
「うーん、僕が行ってもいいのでしょうか?」
「もちろんよ。奈緒ちゃんを助けてくれたし」
さっきまでのぞんざいさに比べ、里美ちゃんのドンに対する好感度は、あきらかにアップしたみたいだ。
「じゃあドン、お邪魔しようか」
「そうですね」
「そういえば、ドンもお友だちと来てたんじゃないの?」
「ああ、さっきのアメリカ人の彼ですよ。さほど親しいわけでもないし、かまいません」
こうして私たち4人は、タクシーでマーク宅へと向かうことになった。
(つづく)

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2011.08.10 Wed l 奈緒の冒険・なにわアクション編 l コメント (2) l top

コメント

なんか
マークって結構いいやつみたいだね~(^^)。
で、この後はお楽しみの時間って奴ですね(笑)。

楽しみにしております。

P.S イギリス暴動ネタでブログ書いたから見てねん
2011.08.11 Thu l 私の碇で沈みなさいっ!. URL l 編集
私の碇でさんへ^^
いよいよ『エッチなおはなし』です^^

了解しました!
後で行きますね^^
2011.08.11 Thu l スマイルジャック. URL l 編集

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