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マークの自宅は、虎ノ門にある外国人専用の高級マンションの30階にあった。
まるでホテルのラウンジみたいな巨大なシャンデリアがぶら下がった豪華なリビングに通され、私とドンがまずしたことは、大きく取られた窓に近づき、眼下に広がるゴージャスな夜景に感嘆することだった。
「ギャッ!東京タワーがこんな近くに!」
「あれはレインボーブリッジですかねえ?」
マークと仲良くお酒の準備をしていた里美ちゃんが、
「マークのお父さんは、みんなも知ってる外資系ファーストフードの日本支社長で、今はアメリカに帰ってるの」
と、奥さんみたいな顔で説明してくれた。
「ふ~ん。私たち日本の消費者がだまし取られたお金は、ここの家賃に使われてるって訳ね」
「…日本人だって海外でお金をいっぱい稼いでるだろ!」
マークが口を尖とんがらせる。
「ちょっと、あんたたち!ここでまた、論争始めないでよ。それにマークのパパのお店は、安くて有名なの知ってるでしょ?」
世話女房に叱られた。

やがて、シャンパンとチーズで乾杯。
「多国籍企業の、あくなき利潤追求に乾杯!」
「日本の軍国主義復活に乾杯!」
私とマークが笑いながらやり合うのを、呆れて見ている里美ちゃんとドン。
「それにしてもナオちゃんはスゴイですね。一歩も引きませんでしたね」
感心したように言うドンに、里美ちゃんが、
「オーストラリアでもあんな調子だから、一緒にいると大変だったわ」
と眉をひそめた。
「オー!可哀想なサトミ。ナオ、もうサトミをイジメないでくれよ」
「マークはバカねえ。あんたはサトミの本当の強さと怖さを知らないのよ。オーストラリアじゃ、すごかったんだから」
「ワーッ!奈緒ちゃん、変なこと言わないで!」
そんなこんなで夜は更け、お酒のビンが次々と空になる。
「ドンはどうして日本の味方なんかしたのよ?日本嫌いは韓国人のDNAでしょ?」
私は酔っ払って、ドンにクダを巻いたが、ドンはあくまで冷静だった。
「別に日本の味方はしていないし、日本人のことが好きって訳でもありません。でも、迷信にとりつかれて、ゴリゴリに日本嫌いな層とは違うと自負してますから」
「韓国人って、日本のことが嫌いなクセに、日本からパクった技術で世界中で儲けてるわよね」
「それも違います。韓国が世界でモノを売れば、儲かるのは実は日本の素材産業や部品メーカーなんです。今、韓国では、われわれはまるで日本を儲けさせるために働いているみたいだって議論も始まっています」
「ねえ、あんたたち、もういい加減にしなさいよ!それより泊まっていくでしょ?」
ろれつが回らなくなり始めた里美ちゃんは、当然のように、ここに泊まるみたいだ。
「う~ん、今から帰るのはめんどくさいな。ドン、泊まっちゃう?」
「僕はいいけど…奈緒ちゃんたちは高校生なのに大丈夫なの?」
「オヤジ的発言!私ら、普段の行いがいいから、信用があるのよ」
と、強がった私だけど、その後、キッチンの隅で深呼吸してから母に電話を掛け、留学仲間の里美ちゃんちに泊まらせてもらうってことで、なんとか許可をもらったのだった。

これでゆっくり飲み直し…って思ったけど、里美ちゃんとマークはすでに出来上がっていて、ソファでくっつきあって、キスしたりおっぱいタッチを始めている。
「やれやれ。このままじゃ目の前でエッチまで見せ付けられそう」
「うーん、興味はありますが、ちょっとふしだらで、日本女性に対する認識が変わりそうです」
いちゃつく里美ちゃんたちの前で、ドンとグラス片手の会話を続けた。
「マークが見た目よりいい子でよかったわ。意外や里美ちゃんにも男を見る目があったのね」
「ナオちゃんの男を見る目はどうなの?」
「見る目もなにも、私に男は必要ないわ。あなたが私の僕(しもべ)になりたいのなら考えてあげてもいいけど。それより、さっきは、どうして私に助け舟を出したの?」
酔っ払いオヤジみたいに、話が堂々巡りだ。
(つづく)

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2011.08.11 Thu l 奈緒の冒険・なにわアクション編 l コメント (2) l top

コメント

なるほど(^^)
「現代韓国の産業における問題点」についての講義ありがとうございます(v^-゜)。
それにしても奈緒ちゃんっていう事が親父臭い…………。
2011.08.11 Thu l 私の碇で沈みなさいっ!. URL l 編集
私の碇でさんへ^^
われらが奈緒ちゃんは、作者の投影でもありますから、オヤジ臭いのも仕方がありません^^;
2011.08.12 Fri l スマイルジャック. URL l 編集

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