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「うん…今から来年が楽しみ」
僕の答えに、祐二ママはクスッと笑って、『まだ今年の夏は終わってないわよ』と言った。
「じゃあ、今夜も一緒のベッドで寝ようか?いらっしゃい」
祐二ママがそう言ってくれたので、僕は喜んで枕を持ってベッドを移動した。
ひとつの布団に収まって、至近距離で顔を合わせると、二人して意味なくニコニコと笑い合う。
「疲れてるでしょ?眠くないの?」
そこで僕は、気になっていたことを思い切って話すことにした。
「お母さんと祐二はおやすみのキスをするんだって」
「あら…そうなの?」
おばさんはそう言って、悪戯っぽく瞳をクリクリ動かしたけど、よほど僕が物欲しそうな表情をしていたのだろう。笑いながら『わかったわよ。じゃあ、おやすみのキスをしてあげる』と、僕の頬にチュッと唇を付けてくれた。
たしか祐二は唇に受けたって言ってたっけ…
そんな僕の不満が通じたのか、祐二ママは苦笑しながら顔を近付けると、唇をすぼめるようにして、素早く僕の唇に重ねたのだった。
ホントに唇にしてくれるとは思っていなかったので、僕は思わず目を見開いたのだけど、祐二ママは再び悪戯っぽく笑うと、今後は舌を伸ばして近付けてきた。僕も反射的に舌を伸ばし、やがて舌先同士がピトッとくっつきあった。
「はい、おやすみのキス終了。じゃあ、寝ましょうか」
祐二ママはそう言って、灯りを消した。

僕は、すぐそばに祐二ママの体温を感じながら、思いがけない初キスに舞い上がっていた。
興奮して眠れないかと思ったのもつかの間、目を閉じると同時に眠りに落ちていた。
今思えば、あれは酒に酔うのと同じ状況だったのだろう。
こうして僕らの小4の夏休みは終わった。

東京に戻った僕らが、別荘でのことを話題に上げることは稀だった。
家で母親とそのことで話をすることは無かったし、たまに会う祐二ママとは、親しくは接してくれるものの、息子の親友の領域を越えるものではなかった。
あわよくば、あの時のようなキスを…なんて考える僕の考えは甘かったようだ。
祐二と二人きりの時ですら、その話題は出なかった。
そしてなぜか、僕もその話題を振るのははばかられたのだ。
まるで僕一人夢でも見ていたかのような気分だった。いや、逆に三人が示し合わせて僕に忘れさせようとしているのか?
あの海辺の別荘での出来事が夢か真実かは、どうやら次の夏休みを待つしかなさそうだ。

月日は過ぎ去り、僕らは五年生になった。
同級生たちも色気づきはじめ、誰と誰が両想いなんて噂も立つお年頃。
僕と祐二にその手の話題は無かったが、それでも僕らはスクスクと育ち、僕の身長は平均を少し上回るペースで伸びていた。
祐二はどちらかと言えば小柄な方だったが、脳ミソの発育は僕より順調らしく、頭の良さを発揮し始めていた。
もっとも優等生タイプとは違い、自分の興味のある事柄にだけ執着するタイプで、当時すでに日本の戦国時代と第二次大戦におけるヨーロッパ戦線の知識については他の追随を許さなかった。
そんな僕らに、待ちに待った夏休みがやって来た!
また今年も、あの素敵な祐二ママとお風呂に入れるのだろうか?
(つづく)

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2010.07.19 Mon l 夏休み l コメント (2) トラックバック (0) l top

コメント

祐二君は
お母さんとお休みのキスをするんですか~(゜▽゜)。なかなかナイスな習慣ですね……f^_^;。
さてはていったいどうなる事やら。
2010.07.19 Mon l 私の碇で沈みなさいっ!. URL l 編集
私の碇でさんへ^^
お休みのキスがディープっぽい^^;
さすがにこんな母子は・・・
2010.07.22 Thu l スマイルジャック. URL l 編集

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