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「よし、決めた!この人だ!」
優二が示した写真のソープ嬢さんは、「ナナ」って名前で、年齢は20歳ぐらいに見えた。
体つきはスリム、顔は整っているけれど、ちょっと冷たい印象かも。
髪は潔いストレートのロングで、笑顔で写ってはいるものの、切れ長の瞳は笑ってはおらず、むしろキッとカメラをにらんでる風で、かなり気が強そう。
(でもこの写真の人、どっかで見たことがあるような…)
そんな僕の思案を断ち切るように、優二が大声で、
「すみませ~ん、決まりました~!」
と、カウンターに声を掛けた。まるで教室で学園祭実行委員を決めたみたいな口ぶりだ。
さっきのガラの悪い従業員がやってきて、僕らの希望を順に聞いたのだけど、優二の指名を聞いて、
「ああ、すいません。ナナは、ついさっき接客に入ってしまって…1時間ちょっとお待ちいただくことになりますが」
と、わざとらしく申し訳なさそうに言った。
「ええ~!」
大げさに残念がる優二に、正樹が、
「ダメなんだって。早く違う人を選べよ」
と、急かしたけれど、頭を抱えて、しばらく考え込んでいた優二が下した決断は、
「わかりました。1時間待ちます!」
だったから、僕も正樹も呆れてしまった。でも、単純な分、一途な優二は一度決めたらテコでも動かないところがある。
「よくこんなとこで1時間も待つ気になるなあ。っていうか、オレたちも終わった後、1時間もここでお前を待つのか?」
「いいじゃないか。ここが嫌なら、どっか外で待っててくれよ。オレ、ナナちゃんから何か運命的なものを感じるんだ」
懸命に言い訳する優二だったが、『運命的』だなんて大げさなところが優二らしい。
ここで少し先走って話せば、このナナちゃんこそが、後に僕にとっての『運命の人』となるんだけどね。

それから5分くらい経っただろうか。
「レミさんご指名のお客さま、お待たせしました!」
と、パンチパーマの受付係の声が聞こえ、バカ話をしていた正樹の顔に、さっと緊張が走った。
「頑張って来いよ!」
「うん…じゃあ後で」
正樹は勢いを付けてソファから立ち上がると、小さいけれど姿勢のいい背中を僕らに見せながら、入口の方に向かった。
「いらっしゃいませ」
ちょっと離れた場所から、若槻千夏にしては、きゃぴきゃぴと可愛い声が聞こえた。どうやら正樹は部屋に向かったようだ。
正樹が立った後、僕と優二は無口になってしまったけど、1分ほど後、今度は、
「ルカさんご指名のお客さま、お待たせしました」
と、僕に声が掛かった。
「…じゃあ、行ってくる」
「…健闘を祈る」
「靖国で会おう」
僕は何やら雲の上を歩くようなフワフワとした足取りで、カウンターの方に向かった。
カウンターの脇の通路に、パンチパーマの男が立ち、その横に透き通るように薄い、赤のガウンを下着の上に羽織った女性が一人、片膝を付いて僕を待っていた。
「ルカさんです」
男が紹介すると、ガウン姿のソープ嬢さんは顔を上げ、
「ルカでございます」
と、僕の顔を見上げてにっこりと笑った。
「あ、はい…」
緊張のせいか、ひどく間の抜けた返事になってしまった。立ち上がったルカさんが僕の腕を取って自分の腕に巻きつけ、『こちらです』と、穏やかな笑顔を浮かべたまま歩き始めた。
女性と腕を組むなんて初めての経験だったけど、その僕のひじにルカさんの柔らかな乳房が当たっている。ブラジャーはピンクだった。
(つづく)

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2011.04.25 Mon l ソープ嬢ナナちゃん l コメント (2) l top

コメント

なんだか
顔立ちが整っていても性格がキツイのってなんか苦手だよねぇ~。

なんか戸○恵○香あたりっぽい感じか?。
2011.04.25 Mon l 私の碇で沈みなさいっ!. URL l 編集
私の碇でさんへ^^
戸田恵梨香とはちょっと違うかな^^;
黒木メイサ?
ちょっと美人すぎるか^^
適当に考えてください!
2011.04.27 Wed l スマイルジャック. URL l 編集

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