エッチなおはなし
エロは地球を救う!モーツァルトのような無垢なエロを書きたい・・・
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優雅で退屈な休暇 6
それでも久しぶりの旅行で、僕はずいぶんとのんびりた気分に浸ることが出来た。
働いている頃は、旅行に出ても取引先からガンガン電話が入ったりして、旅に集中できなかったからね。
そして今回の旅行では、葉子も車の助手席で、とてもリラックスしているように見えた。
ちなみにデートの時は、どんなに長時間運転になったとしても、ハンドルは僕一人で握ることにしている。葉子も運転免許は持っているけれど…僕は決して臆病者ではないと自負しているものの、葉子の運転の助手席に座るのだけは怖かった。
思えば初めて二人で泊まり掛けで行ったのは、冬の京都だったけど、その時は葉子が緊張のあまり、体調を崩してしまったっけ。葉子にとっては初めての浮気旅行で、強烈なストレスを受けていたらしい。今思えば、笑い話になるぐらい初心だったのだ。その頃に比べたら、二人ともずいぶんと図太くなった。
旅の初日は、八王子インターから中央道に乗り、桃の花でピンク色に染まった山梨県を通過し、松本インターで降りて、東京より10日ほど遅れて桜が満開になった松本城を訪れた。
お城には桜がよく似合う。
僕らは手をつなぎ合って、のんびりとお堀端を歩き、青空の下、雪に覆われた日本アルプスをバックに黒くそびえる天守閣を眺めた。
「今回はなんて言って出てきたの?」
「ん?もちろん仕事よ。長野県の会社と大きな取引が出来るチャンスだって」
「ふ~ん。旦那さんは疑ったりしないのかな?」
「全然大丈夫。もっとも、今週は旦那も学会でどっか泊まりがけで出掛けるって言ってたけど」
あまりにも無防備な葉子のことが、なんとなく不安に感じられたけど、せっかくの旅なのだからあまり深くは考えないことにした。
城内にあるお蕎麦屋さんで名物の辛味蕎麦を食べ、葉子は小布施堂でさっそくお土産を買い込み、この日の宿の新潟県赤倉温泉に向かった。
日本海に程近いが、山あいにある静かな温泉町だ。
山桜が彩る夕暮れの山並みを眺めながら露天風呂に浸かり、早めの夕食を取る。
食事は大広間にしつらえられたテーブルに座って頂くのだが、僕としては部屋食よりもこの方が落ち着く。
僕らはワインリストから、ボルドーのジスクールを選んで乾杯した。
「自由の世界に解き放たれた、あなたに乾杯」
「葉子の会社が一部上場出来ますように!」
グラスを当てて、僕らは微笑み合う。周りから見れば、僕たちは夫婦以外の何物にも見えなかっただろう。
多少、葉子が美人過ぎてバランスを崩しているかもしれないけど、15年の歴史は長くて深い。馴れ親しんだ空気が僕らの間に漂っているはずだ。
男と女は体を合わせた回数で親しみを増し、和合する。僕らの周りのテーブルにいるカップルたち(ほとんどが中年から老人のカップル)も、それぞれに仲のいい夫婦にしか見えなかったけれど、それぞれに事情を抱えているのかもしれない。
もちろん、そんなことを詮索しても意味は無い。人の恋路を邪魔するやつは、馬にでも蹴られて死ねばいいのだ。僕は、新鮮な馬刺しを一切れ口に入れながら、そんなことを思った。
葉子はすでに食事に夢中で、料理を一口食べては通りがかった仲居さんを呼び止めて調理法を聞いたりしていた。
「こんど作ってあげようか?」
僕は曖昧に笑っておいた。
葉子が料理が苦手なことは、よく知っていたから。
食後、オプショナルツアーで高田城の夜桜見物に出掛ける。
マイクロバスで国道18号線を日本海方面に向かって約40分、黒々とした森と、水を張った蓮根畑に囲まれたある一角だけが、まるで別次元からワープしてきた宇宙基地みたいに光り輝いていた。
日本三大夜桜で名高い高田公園だ。
「うわ~、キレイ!」
バスを降りてすぐ、葉子が歓声を上げた。
満開のソメイヨシノのピンクと、無数の照明が織りなす花と光のページェント…って、まるで観光ポスターみたいな感想しか思い浮かばなかったけど、やはり僕も夜桜ライトアップの光景に圧倒された。
2011.06.14 Tue
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優雅で退屈な休暇
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優雅で退屈な休暇 7
花見と言う名の騒々しい宴会が、夜ごと繰り返される上野公園や井の頭公園の夜桜なんて見たくもないけど、ここ高田城の夜桜は人出も適度で歩きやすいし、宴会も禁止されているようだ。
僕たちは、手をつないで、たっぷりと水を湛えられたお堀端に沿って歩き、再建された三層の櫓から下界を眺め、通り掛かったカップルから写真を頼まれたり頼んだりした。
この公園では、首都圏のお祭りでは、とんとお目に掛からなくなった香具師が仕切っていて、独特の雰囲気を醸し出していた。坊主頭にねじり鉢巻きを締めたお兄さんがたこ焼きを焼き、威勢のいい金髪のお姉ちゃんが綿あめの呼び込みをしたりして、活気にあふれている。お祭りはこうでなくっちゃ!
暴力団反対には賛成だけど、中には真面目なテキ屋さんだってきっといるはずなのだ。
「ねえ、少しは楽しそうな顔をしたら?」
「…充分、楽しそうな顔をしているつもりだけど…それより、夜桜を見るのに、どうしてそんな完璧なお化粧が必要なの?」
「女には、いろいろ事情があるのよ」
僕らは、息苦しいほどに満開な桜を見上げながら、ゆっくりとそぞろ歩き、人影が途絶えた瞬間を狙ってキスをした。もっとも、葉子が口紅が剥がれるのを嫌がって、舌先を触れ合わせるキスだったけどね。
帰りのマイクロバスの中で、葉子が僕の肩に頭を乗っけて居眠りを始めた。
今日一日、たくさん歩いたし、お腹いっぱいご馳走を食べ、高いワインも飲んだ。
後は宿に戻って寝るだけ?いやいや、大事な儀式が残っている。もう一度温泉に入って、そしてセックスをするのだ。
例え40歳を過ぎても、彼女と体を合わせることは、もっとも濃厚なスキンシップであり、愛情表現でもある。
『画龍天点睛を欠く』と言う言葉があるけれど、デートの最後はセックスで締める。正式な夫婦なら、疲れた時は黙って眠るものかもしれないけど、不倫な関係の僕らは、出来る時には出来るだけ性交をしておかなければならない。疲れたとか言っておられないのだ。
そして、いつの間にやらそれが僕らのポリシーになっていた。
『僕たち、出来るだけセックスしようね!』
ってね。別に義務感じゃないよ。自ずとお互いを欲するだけ。そして僕らの体は、確実にお互いの体に反応した。
旅館に戻って、お風呂で汗を流し、僕は葉子が寝化粧をするのを布団の中に入って待っていた。
「お待たせ~」
宿が用意した、色とりどりの浴衣の中から選んだ、白とピンクの清楚な柄を粋に着こなした葉子が、色っぽい笑顔で寝室に入ってくると、もったいぶりながら僕と同じ布団の縁をめくり、待ち兼ねた僕は、せわしなく彼女の体を抱き寄せた。
「あ~ん、ダメよ。焦らないで」
旅先でのエッチのパターン。普段、うちで交わる時は、当然浴衣なんて着ないし、寝化粧も無し。だから旅先エッチは非日常的で、普段おとなしい僕も、ついつい興奮してしまう。まあ、やることは一緒なんだけどね。
僕たちは、抱き合ったまま布団の上に座って、深く静かに気持ちのこもったキスを交わし合った。
セックスはキスに始まりキスに終わる。キスはもっとも優れた愛情表現だ。
だからこそ、親しき仲といえども口腔ケアには、充分に気を配らなければならない。
僕は、キスをしながら葉子の浴衣の帯を解き、そしてはだけて行った。浴衣と言えども、和服を脱がせていくのはセクシーでそそるものがある。
床の間のランプだけが灯されたほの暗い部屋の中に葉子の白い乳房がこぼれ出た。
胸が小さいことを、葉子は気に病んでいたけれど、僕はそんな葉子のおっぱいが大好きだ。控えめで、すっぽりと手に収まる掌サイズの可愛い乳房を、キスを続けながら、柔らかく揉み上げてあげる。
「ウフ…」
葉子が、舌を絡ませたまま、くぐもった声を漏らした。
葉子の乳首は、子どもを二人育てたとは思えないぐらいに慎ましやか。色だって、決して黒ずんではいない。そしてなんといっても、乳房の形が最高に素晴らしい。
僕は、接吻を続けたまま葉子の肩から浴衣を落とし、上半身を露わにして行った。44歳、二児の母とは思えない、奇跡のおっぱいがその全貌を現した。
(つづく)
2011.06.16 Thu
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優雅で退屈な休暇
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優雅で退屈な休暇 8
熱いキスを離し、葉子のおっぱいに視線を落とすと、彼女はちょっと身をよじってはにかんだ。
乳房の形状の美しさは、やはり体を起こしている状態でこそよくわかる。葉子の胸のフォルムは、小さいとは言え僕にとっては理想的と言えるもので、暗い室内で乳房だけ写メすれば、女子高生と言っても通用するのではないかと思っている。愛するあまり盲目的になっていると言うなかれ。僕にとってはそれぐらい魅力的なおっぱいってことで、15年の間、ひたすら葉子の乳房を珠玉を磨くように愛してきた。
「恥ずかしいから、あまり見ないで」
「ここ…かさぶたになってる」
僕が、そう言って左の乳首をつまむと、葉子が拗ねたように、
「あなたが噛むからよ」
と、抗議した。でも抗議されても困る。だって乳首を噛むことを望むのは葉子の方なんだから。
そう、葉子は乳首を噛まれるのが大好きで、もしかしたら性器以上に感じているのかもしれない。だから、僕はセックスのたびに乳首を噛んであげるのだけど、たまに強く噛み過ぎて、薄皮が剥け、しばらくすると、かさぶたになる時がある。たしか前に噛んだのは1週間前だったかな。僕は強く噛むのは、なんだか怖いのだけど、興奮した葉子は、『噛んで!もっと噛んで!』と、叫ぶので、仕方が無いのだ。
もちろん今日も噛んであげるけど、でも、それはまだ早い。乳首噛みは最後の切り札、ジョーカーなんだから。
そっと葉子の体を布団に横たえ、あらためて浴衣を体から剥ぎ取って、ショーツ1枚の姿にしてしまう。そして、僕は葉子の体に覆い被さるようにして、乳首に吸い付いて行った。
始めは優しく。乳首を唇に挟んでついばみ、やがて舌全体を使って舐め回して乳輪の辺りをベタベタにし、そして再び口に含んで赤ん坊のように吸い立てる。
乳房への愛撫は左右均等になるよう心掛けなければならない。二つのおっぱいは双子の子供みたいなもの。平等に愛するのだ。
「ああ…」
葉子が、切なげなため息をひと声上げれば、いよいよ本格的エッチのスタートだ。
いつもは、夕方までには葉子を自宅に送り届けなくてはならないから、どうしても慌ただしいセックスになってしまうのだけど、今夜はお泊まり。時間はたっぷりあるのだ。二回戦だってやろうと思えばやれる。やらないけどね。
まあ、明日もお泊まりだから、エネルギーは残しておくが賢明だろう。なんと言っても僕も40歳なんだから。
乳房への愛撫でウォーミングアップを終えた僕たち。続いて葉子の淡いピンクのショーツを下ろし、そして抜き去る。
やや濃いめな陰毛を恥ずかしがる葉子が、さっと両手で股間を隠したけど、そんなものはすぐに取り除き、そして太ももを開かせる。
「恥ずかしい…」
葉子が両手で顔を覆って処女のような声を上げたが、これも儀式のひとつ。盛り上がれば、自ら性器を広げてペニスの挿入をせがむのだから。
仄暗い灯りに映しだされた葉子の黒ずんだ性器は、僕にとっては何物にも替えがたい宝物だ。
そっと指先で二枚扉を開いて行けば…内側はピンクで、じっとりと濡れている。愛しくもエッチな葉子の秘密の穴。こんなちっちゃな穴から、二人の子供を産んだなんて、とても信じられない。女性恐るべし!
僕は、右手を性器全体に当てて、ゆっくりと撫でさすってあげると、さっそく熱いお湯に指を濡らされてしまう。
しばらく葉子を愛撫してから、そっと葉子の手を引いて、自らの性器に当てさせると、やがて自発的に指を動かし始めた。
左手で性器を広げて、右手で大きくなったクリトリスを器用にいじる。
「いつも、そうやって一人でするの?」
「そんなこと…しないから」
これもいつもの応酬。もちろん、葉子が家で自慰をしているかどうかなんて知らないけど、その指の動きは熟練していると思うし、むしろ、その指の動きは、葉子を愛撫する上でとても参考になるのだった。
「ハアハアハア…」
葉子の呼吸が徐々に乱れてきたけれど、葉子に対する前菜は、このあたりで一段落させる。
「もう、私ばっかり!今度は私がしてあげる」
葉子がそう宣言して、このあたりで攻守交替となる。全裸の葉子が体を起こすと、僕は自ら浴衣を脱ぎ、その下のブリーフも脱ぎ捨ててしまう。もちろん、僕のペニスはすでに最高潮に勃起している。
(つづく)
2011.06.17 Fri
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優雅で退屈な休暇
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優雅で退屈な休暇 9
勃起力に関しては、40歳になった今も20代の時と大差ないと自負している僕。実際、今だってお腹に付きそうな勢いで反り返っているのだ。
葉子は、そんな僕を横たわらせると、まず唇にキスをしてから顔を滑らせて首筋を舐め、やがて小さな乳首へと達する。でも、僕は乳首を刺激されても、別に気持ちよくはない。ただ、くすぐったいだけだで、たぶんこれは、他の男性の方も同じなのではないだろうか。
さらに、葉子が苦労しながら歯を立てる時があるけど、もちろん痛いだけで、僕が悲鳴を上げると『おかしいなあ。気持ちいいはずなのに』なんて首をかしげている。だから、噛まれて感じるのは、女性だけだって!それもたぶん、子供を産んだ大人の女性だけだと思うぞ。
まあ、そんな僕の感覚をよく知っているので、葉子の攻撃はおのずとペニスに集中することになる。右手でペニスを握って、さわさわとしごき始めるや、僕は早くも気持ちよさに目を細めることになる。何気ない愛撫にも、非凡なセンスを感じさせる。葉子は、生まれついての愛撫上手なんだと思う。
男の性感帯は、ほとんどペニスに集中しているけど、全身に気持ちいいスポットを分散させて持っている女性に比べたら、まったくもって、つまらない存在だ。しかも、女性の方がセックスでの快感は、男よりはるかに高いと言うじゃない。やっぱり男は女には適わないと、妙に実感してしまう瞬間だ。
なのに男は常に発情していて、定期的に射精しなければガマン出来ないのだから、浅ましくも哀しい動物。
まあ、愛撫されながら、自虐的な気持ちになってもバカみたいなので、僕は性交に集中することにし、冷たくて気持ちのいい葉子の指使いを堪能した。
でも、実は口での愛撫を心待ちにしていたりして…
間もなくペニスは、生温かく濡れた気持ちのいい感触に包まれた。葉子の口だ。
前にも書いたけど、葉子のフェラチオは他の追随を許さないものだった。
僕は40歳になる今まで、葉子以外の女性との経験は無きに等しいものだけど、それでも葉子のテクニックは超A級だと断言できた。
経験が少ないのに、なぜ断言出来るのかなんて聞かないで!わかるものはわかるとしか答えようが無いのだから。
まず、葉子はペニス全体をまんべんなく舐め回し、均等に湿らせて行く。すぐにペニスは、ゆで卵を剥いたみたいにホカホカに湯気が立つ。
これをドリップ式コーヒーに例えれば、フィルター内のコーヒーの粉に、まんべんなくお湯を通して蒸らしている段階か?
コーヒーの芳しい香りは、この蒸らしの段階で決まる。そしてペニスの場合は、芳香にあたるものが性的快感ということになるのだろう。
やがて葉子が舌を伸ばして、亀頭の部分をスタートに、ペニス全体を舐め回し始める。
この時の舌が接触する感覚が絶妙で、舌先で触れるか触れないかの微妙なタッチを見せたかと思えば、舌全体を力強く巻き付けてきたりする。
葉子は幼い頃からピアノを習っていたらしいが、このダイナミックレンジの広いフェラチオは、もしかしたらピアニスト特有のものなのかもしれない(羽毛のようなピアニッシモから雷鳴のようなフォルテまで)。
舌舐め攻撃の心地よさに、僕は全身をピクつかせて喘いだけれど、次の瞬間には吸いのテクニックまで加えられることになる。
先端の部分をチュッチュッと音を立てて吸ったかと思うと、徐々にペニス全体を口の中に吸い込んで行くこの高等テクニックは、吸いながらも内部では舌が活発に回転運動を続けることに特長がある。その快感たるや筆舌を尽くし難いものがあり、例えてみれば、優雅に水面を泳ぐ白鳥が、実は水面下では、懸命に足をばたつかせているのに近いかもしれない。
ペニスは、葉子の口腔内へと、深く深く招き入れられて行き、もう限界だろ!と思う地点より、さらに一歩進んだ地点で静止する。
もしもペニスに目があれば、そこは音も光も無い清浄の世界。風の谷の腐海の底みたいに浄化された場所なのかもしれない。
そして、そこが膣の中だと言われれば、錯覚して信じてしまいそうな感覚だ。
やがて吸引により、少しづつ空気が抜かれて行く。AVなど、あまり見ない僕でさえ、これがバキュームフェラと呼ばれることぐらいは知っている。これがまた、得も言われぬ気持ちよさで、僕の口からは知らず知らずのうちに、うめき声が漏れてしまっていた。
(つづく)
2011.06.18 Sat
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優雅で退屈な休暇 10
決して長いとは言えない、僕のペニスのほとんどが葉子の口中に消え、先端に喉粘膜らしきものが感じられるから、これがいわゆるディープスロートと呼ばれるものだろうか。1970年代のアメリカのポルノ映画のタイトルとなって以来、世界に猖獗した性行為のひとつだ。
男性側に心身ともに大きな快感を与えてくれる反面、女性には性感染症や顎関節症、さらには喉粘膜を傷つけてしまうリスクを抱えているので、よい子のみんなは真似をしないようにね。
ともあれ、数秒間の静止で込み上げるてくるような鋭い快感を与えてくれたフェラチオの後、葉子はゆっくりとペニスを吐き出し、『プハー!』って感じで息を吐いて、そして小さく咳き込んだ。
「だ、大丈夫?」
「うん、平気」
葉子は、微かに涙が溜まった瞳で微笑むと、濡れて光ってピクついているペニスに再び口を寄せ、そして舌舐めからダ・カーポするのだった。
僕が18歳だったら、この段階ですでに漏らしていただろう。実際、ペニスの先端からは先走りの液が湧き出ているはずだ。
ちなみにこの先走り液はカウパー腺液と呼ばれるもので、女性の愛液と同じように、ペニスの挿入をスムーズにする役目の他に、精子の通り道である尿道内を洗浄する作用もあるらしい。
このカウパー博士が発見した腺液の分泌も、加齢とともに徐々に減少してくるらしいのだが、僕は葉子という最高のパートナーに恵まれたせいか、いまだ湧出量は健在だと思っている。
さて、そろそろフェラチオに一段落をつけて、次は葉子を気持ちよくしてあげなければならない。僕がきっかけを作らないと、葉子はいつまでも口での愛撫を続けてしまうからね。
かつて一度、僕が制止しなければ葉子はいつまでフェラチオを続けてくれるのだろうかと放置したことがあったけど、結果から言えば、気持ちよさに包まれて僕がうとうと眠ってしまうまでフェラチオを続けてくれた。
ペニスを舐められながらの誘眠は、まさしく気持ちよさの極致ではあるけど、果たして女性の側に快感はあるのだろうか?
葉子が熱心に口腔性交にのめりこむのは、もしかしたら口粘膜には、女性器に似た性感があるのかもしれない。
一度、『口でするの好きだね』と、葉子に振ったことがあるけど、『別に』と、そっぽを向かれてしまった。気分を害した時のリアクションで、おそらく照れもあったのだろう。
僕は人との争いごとが嫌いなので、それ以上突っ込むことはしなかったけれど、それでも葉子のフェラチオ好きは疑いようが無いと思う。
もちろん、口での愛撫は男にとって最高の快楽をもたらすものだから、好きな男性がそれで喜ぶならやりがいもあるのだろう。ただ、僕の直観として、やはりフェラチオをするという行為自体に、なんらかの媚薬的効能が含まれているように思う。
男のセックスは単純な射精中枢への刺激が中心だけど、女性のセックスは主に脳ですると言われる。葉子の場合は、ペニスを口で愛撫するという行為自体に欲情するのだと思う。ペニスを舐める自分の姿を客観的に想像して興奮するのだと思う。
僕が葉子と付き合い始めた頃、葉子はあまり濡れやすい体質ではなく、挿入に支障をきたすことも何度かあった。
ところが、そんな時でもフェラチオを始めると、みるみるあそこを濡らしたのだ。僕の指マンなんかより、はるかに豊かにバルトリン腺液を湧出させ、僕に女体の神秘を実感させた。
もっとも、40歳を過ぎての葉子は、僕のつたない指の愛撫でも十二分に濡れるようになった。もしかしたら女性の愛液は、男とは逆に加齢とともにむしろ増加するのかもしれない。
閑話休題。
さて、葉子のフェラチオに区切りをつけさせて、いよいよ挿入の体勢に入る。
本当なら、フェラチオのお返しに、僕も口で愛撫、いわゆるクンニリングスをするべきなのだろう。フェラの最中に体を入れ替えて、シックスナインという方法だってある。
ところが、葉子は僕に口で愛撫されることをとても嫌がった。
理由は、『変な液がいっぱい出て汚いから』。
自分は、ペニスを口に入れたり、口内で射精させたりしているのだから、これは変な理屈ではある。
舌でのなめらかな愛撫は、指やペニスとはまた違った快感を与えるはずだから、僕としては、ぜひとも葉子に施したい性戯のひとつなのだが…
この葉子の心理は、潔癖症の一種と呼ぶべきものだろうか?それとも、男に混じって仕事をバリバリやって来た葉子にはふさわしくないと思うけど、『男のはいいけど、女のは汚い』みたいな理論があるのだろうか?
僕は、クンニさせてくれないことを、常々不満に思っていたけれど、もちろん葉子の嫌がることは何もしないと決めていたので、大人しくペニスを挿入する体勢へと体を移動した。
(つづく)
2011.06.19 Sun
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